ランニングシューズはどこまで進化するのか?

 こんにちは。足と靴の専門店『くずは優足屋』の西岡です。私が持っているスポーツシューフィッターの資格の更新に必要なウェブセミナーを受講しました。テーマは『ランニングシューズのイノベーション』自身もランナーでシューズアドバイザーの藤原岳久さんのウェブセミナーでした。

 ウェブセミナーの申し込みをしたのに、視聴出来なくて主催者に連絡したら「郵送でURLとパスワードを送ってますので、もうしばらくお待ちください。」って、ウェブセミナーなのに?(笑)2日程して届いたので視聴しました。

 今回、セミナーで勉強した内容を自分なりに記事にしてみようと思いました。

ナイキ公式ホームページより ズームXアルファフライ
目次

ランニングシューズ界はナイキが席巻!

 現在のランニングシューズ界はナイキの独壇場と言っても過言ではありません。少し前まで日本ではアシックスが多かったのですが・・・。

 その転機になったのは2017年5月。ナイキが主催となって行ったフルマラソン2時間を切ることを目標にしたイベント『ナイキブレイキング2』。

 このイベントに現世界記録保持者のキプチョゲ選手が挑み、2時間00分25秒という記録でフルマラソンを走り切ります。わずかに2時間を切ることは出来ませんでしたが、2時間00分25秒という記録はセンセーショナルでその時に履いたシューズにも注目が集まりました。

 その時に履いたのがナイキのズームヴェイパーフライ4%。柔らかい厚底ソールにカーボンプレートを搭載したランニングシューズ。ランニング効率を4%上げるという事からその名前が付きました。

 ここからが今のナイキの快進撃の始まりでした。

 2018年にはヴェイパーフライ4%フライニットという新しいシューズが発売され、日本でも大迫傑選手が日本記録を更新するなど多くのトップランナーたちがナイキを履くようになりました。

 2019年に入ってもその勢いは衰えることなく、箱根駅伝でもナイキのヴェイパーフライを履く選手が非常に多くなりました。

 ナイキのシューズで好記録が続出すると、ナイキを履きたい選手とスポンサーの間で問題が起こってきます。海外ではナイキのシューズのソールにニューバランスのアッパーと付けたハイブリッドシューズを作って履く選手が現れたり、ナイキのシューズを黒く塗りつぶしアディダスの3本ラインを書く選手もいたそうです。

 そんな中で2019年10月にさらなるイノベーションが起こります。INEOS159(エネオス159)というフルマラソン2時間切りのイベントがまたも開催され、前出のキプチョゲ選手が1時間59分40秒を記録し、2時間切りを達成してしまいます。※公認記録ではありません。

 この時に履いたシューズが上の写真にもあるズームXアルファフライネクスト%でした。40mmという超厚底ソールにカーボンプレートを搭載したこのシューズは、シューズファンとしては見た目にも驚愕的な1足でした。

 この辺りから徐々に「このシューズを使うのは問題があるのでは?シューズがアシストしているのでは?」という議論が出てき始めます。

 そんな中行われた2020年の箱根駅伝、ナイキは驚異の84.3%というシェアで駅伝ランナーたちの足元を彩りました。

 そして丁度今から1年前くらいですね。2020年の1月。世界陸連が厚底靴に規制を設けると発表しました。要約すると以下の通り、

  • プロトタイプや医療的な場合以外のカスタムの禁止
  • スタックハイト40mm以内(ソールは40mmまで)
  • 発売から4ヵ月経たもの。

 現行の厚底靴は使用できる規制だったので混乱はありませんでしたが、最後の発売から4ヵ月経過したものという規制には各メーカーが慌てました。オリンピックに履いてもらうシューズを4月には発売しなくてはならなくなったのです。

 結果的にコロナの拡大でそれどころでは無い状況になってしまいましたが・・・。

ナイキの牙城を崩すのはどのメーカー?

 今年1月の箱根駅伝はさらにナイキが圧倒していました。駅伝ランナーの足元は黄緑(アルファフライ)とピンク(ヴェイパーフライネクスト%)の靴ばっかり。実にシェアは96%に上りました。

 ナイキのシューズを履かなかったのはたった9人のみ。

アディダス アディオスプロ 4名
ミズノ ウェーブデュアルネオ 2名
ニューバランス フューエルセル5280 1名
ニューバランス フューエルセルエリート 1名
不明 1名

↓元のリンクを貼っておきますので詳しくはこちらをご覧ください。

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NIKE圧勝の中、あえて履かなかった9人の選択 〜箱根駅伝2021に見る最速シューズ考 ナイキのシェア率は驚異の96% 1月2日、3日に開催され、駒澤大学の大逆転で幕を閉じた第97回東京箱根間往復大学駅伝競走(以下:箱根駅伝)。順位と同様にランナーが「どの...

 3年前までは多くのランナーが使用していたアシックスは何と0名。

 ナイキの1強がどんどん加速しているように見えますが、各メーカーも対抗馬を打ち出してきています。

アディダス『アディオスプロ』
アシックス『メタレーサー』
ミズノ『ウェーブデュアルネオ』
ニューバランス『フューエルセル5280』
ホカオネオネ『カーボンX』
ブルックス『ハイペリオンエリート』
サッカニー『エンドルフィンプロ』

 上記はいずれもカーボンを使用したシューズです。実際に実績が出てきているものもあります。

 私、店主西岡の意見ですが、1強という状況は選手にとってはあまり好ましい状況ではありません。今のままだとナイキのシューズが足に合わなくても記録のためにはナイキを履かなくてはならないとなってしまうからです。

 今のナイキのシューズの印象はアッパー(靴の上部)が上手く足に沿わないと感じるものが多く、その辺りはミズノやアシックスの方がフィット感の良いものを作っていると思います。

 今後、ランナー達の選択肢が増えて、好記録が狙え、なおかつ、足にもフィットするというシューズがたくさん出てくるのを願ってやみません。

とは言っても一般ランナーにはほぼ関係の無い話

 ウェブセミナーの中でシューズアドバイザーの藤原さんが言っていたのに私も激しく同意なのですが、ナイキが1強とは言っても、それはフルマラソンを3時間を切ってくるようなトップランナー・シリアスランナーの話。

 健康目的でマラソンをしているというようなランナーにはカーボンプレート入りの厚底靴はかえってリスクなんです。

 というのも、カーボンプレート入りのシューズは底が硬く、屈曲性が少ないのが特徴です。1キロ3分台で走るランナーは踵からドンと着地することはほどんど無く、ややミッドフットからフォアフットでの着地が多くなります。

 踵から着地して、足を返すような走り方の場合はカーボンプレートの硬さが足の動きを邪魔してしまい、足裏とふくらはぎに負担をかけます。

 カーボンプレートを使った厚底靴は速く走れるシューズなのは確かですが、楽なシューズでは無いのでそこは注意が必要ですね。

 今日のブログはいつもより長くなってしまいました。しかも、マラソンやランニングシューズに興味の無い方には???の内容だったと思います。最後まで読んでくれたあなたは素晴らしい。ありがとうございました!

ウォーキングシューズ・オーダーメイドインソール・フットケア
足と靴の専門店『くずは優足屋』
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